右耳の閉塞感 西宮市 70代 女性
【主訴】右耳がふさがり、音が聞こえにくい
精神的なストレス、心配事が重なり数日前から持続的に右耳の調子が悪いという訴え。昨年にもストレスから突発性難聴を発症したこともあり、心配になり来院下さりました。
【愁訴】
多数あるが・既往歴とともに省略。
【治療1回目:3月27日】
左脾虚証として治療方針を立てる。
左太白、左太陵、左豊隆、右外関の各ツボへ鍼を施す。
背部は、肩から腰まで流すように散鍼。そして肩甲骨の張りがきついため、その周囲の反応部に数か所の接触鍼。施術中に肩背部の緊張が弛むのを確認。左仙腸関節に温灸を1壮行う(※骨盤のズレを矯正する目的)
仰向けで側頚部にある翳風、完骨のツボ付近へ、鍉鍼(刺さらないタイプの鍼)で施術を行い1回目を終える。
【治療2回目:3月29日】
前回の治療後その日は耳の違和感が軽減。次の日は忙しく過ごしたため再び症状が戻る。愁訴のこともありツボを少し変える。
右肝脾として、右曲泉、左太白、右豊隆、左遍歴に鍼を行う。
その他の施術は、1回目とほぼ同様に行う。
【治療3回目:3月31日】
時々、耳の違和感を感じるが、ほとんど忘れているほどに頻度が大幅に減る。その他の愁訴も、同時に改善してくる。
前回と大きく変えずに施術を行う。右曲泉、左太白、右豊隆、左遍歴に鍼を施す。
【治療4回目:4月3日】
右耳の閉塞感、聞こえにくさは全く気にならないということで完治とする。
左脾肝として、左太白、左太陵、右曲泉、左豊隆、左遍歴に鍼をして、耳の閉塞感の治療を終了した。
【治療家からひとこと】
ストレスや心配事が重なったために、内因(からだの内側の歪み)が起こり、これが耳に影響したと考察。
神経系やからだの諸器官(目や耳や鼻など)は自律神経の働きと、大きく関わります。そのため、こころの大きな動き・変化に伴なって症状が出やすいと言えます。
東洋医学では、思い悩むと脾臓が弱るとされます。この脾臓とは消化器(胃や腸など)の働きをつかさどる臓腑です。主訴である耳の症状と消化器の臓器は、一見関係ないようですが、からだの状態を整える上では重要になるケースによく遭遇します。
今回の症例は、脾臓の弱りを立てなおすツボを使用して、耳の閉塞感が改善した症例でした。